「なぜカカオニブの選別をするのですか?」パティシエさんからのお問い合わせ
Twitterでスタッフさんがこうつぶやいたら、あるパティシエさんから
「突然すみません!カカオニブはどうして厳選しないといけないのでしょうか?」と質問されたそうです。
なるほど。カカオニブを購入されたら、そのまま使うんでしょうからね。
あ、ニブがそこらじゅうに散らかるのは、年じゃなくて、単にゴミ箱の位置が悪くて、うまくシュートできてないだけだ思うのですが。。。
私よか二回りも下なのに、年とか言わんといて〜 ^^;
実は、以前こんな出来事がありました。
「テリーヌショコラ」を注文したら、こんな風に上に飾りとしてパラパラとカカオニブがふりかけてありました。
そ、そこには。。。立派な胚芽(ジャームとかチュニブとも呼ばれる)が一緒にのっかっていたのです。
あまりに立派でおっきい胚芽だったのと、こちらはカウンターでオーナーさんとお話しながら食べるスタイルで、ニコニコフランクにお話ししていたこともあって、かくかくしかじか。。。
なので、これ見つけたら取られた方がいいですよ、とお伝えしたことがありました。
やはりご存知なかったようで、お礼を言われたことがありました。
この写真は、カカオニブについて以前書いた記事に掲載してたものです。
こんな風に、カカオ豆はカカオニブ(胚乳)、皮(ハスク)、胚芽(ジャーム)に分けられます。チョコにする食べられるのがカカオニブです。
カカオ豆1粒に1つの胚芽があるので、カカオ豆は約1gとすると、1kgのカカオ豆には1,000個の胚芽があることになります。
結構あるのよ ^^
皮や胚芽は食べようと思えば食べられなくもない???ですが、雑味でしかありません。
特にガリッとかジャリッてなったら、堅い胚芽が混ざっていたと思われます。
ぜひパティシエの方、胚芽を見つけたら一度食べてみてください!こんなんなんだ、とわかっていただけると思います。
本日ちょうど試作用の豆がありましたので、ニブになるまでを写真に撮ってみました ^^
今回、工房に届いたのはベネズエラ産のカカオ豆。初めてです ^^
これをまずは選別し、不良豆を取り除きます。小さすぎる豆、ぺっちゃんこで中身がない豆、穴が空いてる豆、欠けてる豆、不要物が付着してる豆、カビた豆、などなど。
ちなみに今回は3%の不良豆を取り除きました。あくまで弊社基準での不良です。サンプルとして送っていただいてるので、全体的にきれいです ^^
選別したカカオ豆をローストします。
豆によって温度と時間は異なります。最後の決め手はハゼる音と、香り。あたり一面、香ばしいいい香り〜 ^^
そして冷めたら皮むき丸くんで、カカオ豆を砕きながら、風選(風の力を使う)で皮を飛ばしカカオニブを取り出します。これ今回は2回繰り返しました。
皮むき丸くんを購入する前は、手むきしたり、砕いてドライヤーで皮を飛ばしたり、むっちゃアナログなことをしてたな〜 ^^
皮むき丸くんでとれたニブをバットに広げると、赤丸で囲ったとこ!これ見てちょうだい。
中央上は皮の破片、一番右はちょっとカビてるような美味しくなさそうなニブ、あとのが胚芽です。エリンギのちっちゃいのみたいな ^^
こんな感じで、機械では取り除けなかった皮の破片、胚芽(ジャーム)、カビてるもの、虫さん(まだ遭遇したことない)、発酵が不十分なものなどがあるのです。
これらが雑味の原因になるので、うちではピンセットを使って丁寧に取り除きます。
私はピンセットがアルミのバットに当たる音が苦手なのと、銀色だとニブが見にくいので、乳白色のプラバットで少しずつ坂の上から流しながら、見つけたらピンセットで取っています。3回くらい繰り返すと、ばっちりです。
これ、意外とハマる作業なんです ^^
ここにおったーーーって。
ちなみに、今回ベネズエラのカカオ豆700gから511gのニブが取れました。つまり73%です。結構いちいち測っております。
27%はローストで飛んだ水分、皮や胚芽、美味しくないニブということになります。
販売されてるカカオニブも、どの程度選別されてるかはメーカーによると思います。機械で皮をとっただけなら結構胚芽が残っている可能性がありますので、一度目をよーく凝らして見ていただくといいと思います。
そして、見つけたらぜひ一度食べてみてください。おぅっこれかってなると思います ^^