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カカオの産地訪問記

メキシコ2日目です。
国立農牧林研究所(INIFAP)訪問し所長の講演を聞き、討論を行う予定でしたが、日本を出発する1週間前からなんとストライキが行われて、訪問ならず ^^;;;

研究所のカルロス先生とアレキサンデル先生がホテルに来てくださり、サロンで講演を行ってくださいました。


下の象形文字が「カカオ」の語源になった文字で「カカウ」。左が魚の骨、右がサルの頭。

遺跡から見るカカオの歴史はとても興味深いです。
マヤ文明の人たちがカカオポットのことを「カカウ」と呼んでいたのが、「カカオ」の語源。
1300年昔の750年前後、ボナンパック遺跡(マヤ文明)の壁画に、台の上の王様へささげる泡立てた飲み物(ショコラ)が描かれているのだそうです。
またカカオの種は通貨としても使われており、それを飲むということは、金を飲む=上流階級の人であるということ。





カカオと一口に言っても、見た目だけでもこんなにいろんな形があります。ちなみに全て希少なクリオロ種です。
左の小さいのは原種で、文明未開のジャングルのラカンドン族のところに自生しているのだそう。
私が手に持っているのは、愛称「ワニ」と呼ばれているカカオでクリオロの中のラガルト種。





実際にカカオを割ってフレッシュなパルプと種の試食。5角形にきれいに並んでいます。種を包んでいる白いパルプ(果肉)は、マンゴスチンやライチのような、フレッシュな酸味のある南国フルーツの味です。そう、カカオはフルーツ!パルプを食べると、改めて感じることができます。
種はゆで落花生みたいな感じ。あまり味はありません。
現地での発酵の段階で、このパルプは溶け、そしてカカオ豆を乾燥させることで消えていってしまうんですね。

パルプや種を食べることは、現地でないとできない貴重な体験。カカオパ〜ティ〜なり〜 ^^



50年前に定義されたカカオ豆の品種についても今はいろんな研究が進んで、その定義が変わってきていることなど、やはりここにこないと知りえない貴重な情報を知ることができました。


一般的には3種類(クリオロ種、トリニタリオ種、フォラステロ種)に分類されますが、葉、カカオポットの形、断面の厚み、豆で判断されているんだそう。

ちなみにカルロス先生のおっしゃるクリオロ種の特徴は
・形は多岐にわたる(持って来ていただいてるもののように)
・豆を割ったとき、80%が白又はクリーム色が望ましい
・酸味が少なく甘みが強い、香りが良い、糖度が高い(パルプは16~18度)、渋み苦味は低い
・自分の花の花粉だけでも受粉できる



メキシコは、カカオの歴史はあるものの、国際競争力がないんだそうです。
なかなかカカオをやろうというふうに根付かないのだとか。

古代から今も、ドリンクやお料理にカカオは使われているので、消費は10万トン。なのに生産は2.3万トン。せっかくファインカカオなのに、足りない分は輸入している。
生産量が減ってきているのも問題。それが、木の樹齢が高くなってきているから、1本当たりの生産が低い。
また、生産者の高齢化、後継ぎがいない(50歳以上が65%)。

2005年のからモニリア病などが蔓延し、全部の農園で感染し、生産が半減したそうです。
他にも害虫、害獣の被害にもあったりで、なかなか大変なご苦労の様子がうかがえました。

先生方は、メキシコのカカオを盛り上げるにはどうしたらいいのかを常に考え、病害虫のコントロール技術、接ぎ木、灌漑、剪定、化学肥料を使わない指導などを農園に行っているそうです。

貴重なお話と体験をありがとうございました ^^